2013年2月22日金曜日

西村花店


これは、西村花店という花屋のブログではなく、「西村花店」という名前のブログです。

この文章を読んで、あるいは私がいけた花を見て、あぁ、花を飾るのも悪くないな、ちょっと花でも買ってみようかな、という気になってもらえれば、という想いから、「花店」を名乗って活動しています。

日記と、花展の案内を掲載させていただきます。よろしければ、お付き合いくださいませ。

冬に咲く花が好き。

冬に咲く花が好き。

多くの植物が紅く染まった葉を落とし、静かに寒さをやり過ごすなか、緑の葉を絶やすことなく花芽をつける。北風に吹かれる冷え切った葉。この花たちは、冬という季節しか知らない。空がどこまでも高く、冷たくて澄み切った世界しか。

不純なものが、何にも含まれていないという気がする。丁寧に丁寧に作られた、薄いガラス細工のような。硬くて握りつぶすことはできないのに、簡単に汚して一瞬で粉々にできてしまう。

たくましく、純度が高く繊細な、冬という季節に咲く花たち。好きなのは、自分もこうありたいと願うからなのだろうか。


さざんか
真冬に鮮やかな花を次から次へと咲かす。
街路樹によく使われています。


2013年2月6日水曜日

春も冬も

雨の夜、道路沿いを歩いて帰る。

家の灯りはほとんど消えて、ヘッドライトと街灯が、暗闇の中雨の姿を照らし出す。水の粒が傘をはじく音と、タイヤが水たまりを撥ねる音。永遠に続きそうな、暗くて寒い夜だった。

足早に歩いていると、ふと目の端にピンク色。愛想のない街灯の下に、花束が置かれていた。あぁなんてこと、思いながらも覗き込む。

マーガレットと、優しいピンクのガーベラ、スイートピー。柔らかな杏色で包まれて、とても可愛らしい。年下の彼女に贈る誕生日プレゼントのような。

素敵な花合わせ、上手にできている。なのにどうしてこの花束を作った花屋さんは、春の花でそろえてしまったのだろう。冷え切った冬のアスファルト、雨が降りつけスピードを出した車が素知らぬ顔で過ぎていく。

寒い寒いと、毎日文句を言って暮らしている。いつも忘れてしまうのだ。巡る季節を感じられることはこんなにも、幸せなのだと。