少女マンガを読むと、主人公じゃない女の子のことばかり好きになる。
美人じゃないけど純粋で憎めない主人公と、とびきり美人で計算高い、主人公の邪魔ばかりする女の子。「枯れやすいから、薔薇は棘で身を守る」。ある少女マンガで、主人公じゃない女の子が取り上げられた回のタイトルは少し意味深だった。
この間久しぶりに、バラの棘で指を刺した。小さい棘だ、大した傷じゃない。でも今も抜けずに、思い出すと指先が小さく痛む。
だけどこの棘はバラの本当の天敵、虫や動物の前では何の役にも立たない。彼らはそんなのお構いなしに、きれいな花を食い散らかす。私たちだってその棘だらけの茎を触らなくても、美しい姿を楽しめる。
きれいなバラにはたくさん人が寄ってくる。愛でて賞賛する。それは同時に、たくさんの人が去っていくということ。棘は、その痛みに耐えられない言い訳みたいだと思った。「当然じゃない、私には棘があるんだもの」。
『カノジョは嘘を愛しすぎてる』の、主人公じゃない女の子は、茉莉。彼女は誰よりも美しい顔と声を持つ歌姫で、それらを失うことを、それらを愛してくれる人を失うことを執拗に恐れる。純粋で若くて才能のある主人公に嫉妬する。ひどいことを言って傷つける。でもバラの棘みたいに、痛々しいのは見た目だけなのかもしれない。皆を傷つけるふりをして、誰よりも傷ついているのはきっと彼女。言い訳の下で願っている。「棘があるのよねぇそれでも、それでも私を愛してくれる?」。
想っても想っても報われない、主人公じゃない女の子の恋。痛々しくて悲しくて、脆くて切ない見ていられない。読んだ後、小さい痛みがでもいつまでも、しくしくと胸を痛め続ける。いつまでもたっても、抜けないバラの棘みたいに。
バラ
冬とクリスマスに奪われて、年中きれいな姿で花屋にいるものだからいつもすっかり忘れてしまうのだけれど、バラは初夏の花だ。
桜が終わりつつじが終わるちょうど今頃、玄関先の小さい鉢植えで、大きい庭でアーチになって、ミュージカルみたいに街中で、色とりどりにほころびだす。
バラを育てるのが大変な理由の一つに虫がある。放っておくと葉っぱも花も食い散らかされる。
カノジョは嘘を愛しすぎてる 11TH song (Cheeseフラワーコミックス)
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