2013年10月21日月曜日

寒露

――陰寒の気に合って、露むすび凝らんとすれば也。
新暦十月八日頃

毎朝8時20分に家を出る。家を出た瞬間の温度が少しずつ寒くなってきたように思う。私が寝ている間は、もっと冷えていたのだろう。

空気が冷えると、土や植物の上に水滴ができる。温度が下がらないと見ることができないこの現象を、「寒露」という。だから朝、植木に露が降りているのを見つけたら、あなたがまだ起きる前の、冷えた空気を感じることができる。

今年は、「寒露」というには少し暑かった。でもその言葉が教えてくれる。私たちがまだ生まれる前の、「今朝」の空気の冷たさを。



2013年10月16日水曜日

秋分

――陰陽の中分となれば也。
 新暦九月二十三日頃



 昼の長さと夜の長さが同じになる日、
そしてその日を境に、夜の時間が長くなっていく、それが「秋分」。

 道教の「対極図」は、黒と白が半分ずつ。この勾玉のような形は、闇は常に光に向かい、同時に光は常に闇に向かっている姿を表している。秋分に相応しい図だと思った。夜と昼がそうであるように、夏と冬がそうであるように。そのつながりを「水引」草で表し、季節の花である彼岸花をあしらった。

 今日から夜が長くなる。忙しい日々の中、決して大きな変化ではないけれど、耳を澄ませば冬への足音。「秋の夜長」の言葉通り、月のきれいに輝く下で、あなたは何を想いますか。耳を澄ませば、虫の鳴くのが聞こえますか。





2013年10月15日火曜日

On the Way of Seasons


いつも過ぎてから振り返る。
 
気が付くとこんな時間。
気が付くともう夏も終わり。
気が付くと、あれからもう一年。

移り変わっていくものは、さらさらと手から零れて行く。
音を立てずに、留まることなく。
カラの手のひらを見て初めて気が付く、
そこにあったはずのものに。
その時間は、その夏は、もう二度と巡っては来ないのに。

 
 かつて日本で、「二十四節季」という暦が使われていた。大地の暖かさや水の冷たさ。陽の傾きが一年かけてもたらす変化を少しずつ読み取って、美しい、二字の漢字で表した。
 
 過ぎて行く時間の中で私たちは無力かもしれない。零れ落ちる砂を止めることはできない。でも、零れ落ちて行く姿を愛でることはできる。

 それは、日本人の季節の感じ方。二十四の、季節の途中。



三条高倉、「日常茶飯」さんに、二十四節季にちなんだお花をいけさせていただいています。
https://www.facebook.com/nichijosahan