2012年7月1日日曜日

永遠なんてないなんて


 花言葉は「移り気」。次々に変わる花色で、私達を楽しませてくれる花。あじさいで作ったリースを、最近花屋でよく見かける。

「永遠」の象徴とされているリース。絶えることのない輪の形をしたリースは、「永遠に時を刻む」ということから、製作するときには必ず、時計回りに花や葉を入れていくそうだ。

変化の象徴であるあじさいと、永遠の象徴、リース。永遠なんてない。あじさいのリースはそう言っているのだろうか。氷が溶けてなくなるように、花が朽ちて枯れるように。そして枯れてしまった花を、誰も愛でなくなるように。物も心も、時間がすべてを変えていくのだと。私達はいつもそのことを忘れてしまう。気に入った物や好きな人ができると、失うことを忘れてずっと一緒にいられることを疑わない。簡単に永遠を信じてしまう。

だけど時々そのことを思い出す。永遠なんてないことを。例えば、好きな人と一緒にいるとき。あまりにもその時間が、楽しくて美しくて完璧だと、いつか壊れてしまうのではないかと不安になる。だって永遠なんてどこにもない。いつも忘れている事実。花は枯れるし心は変わるし肉体は滅びる。だけどその事実を認めて過ごす時間は人の想いは、無条件に永遠を信じるよりもずっと強いのではないか。

 限りある人間同士が愛し合うこと、枯れ行く花を限られた時間精一杯愛でること。失うことを知っているからこそ強く想う気持ち。あるいはそれは、誰かの心の中にずっと残っていくのかもしれない。それは、限りある肉体を持った私たちが、唯一「永遠」に手を伸ばせる瞬間なのかもしれない。

 あじさいのリース。いつか変わってしまう色を、どうかそのままでいてと、祈る永遠。





0 件のコメント:

コメントを投稿