2012年10月6日土曜日

光の破片

プールとかアイスとか、子供の頃大好きだった。

大人になって手にすることができるのはアイスクリームぐらいだ。あの頃と違って100円のアイスなら好きな味を好きなだけ買うことができるけど、他のものは全部失った。

もう長いこと、夏らしい遊びをしていない。
最後に海へ行ったのはいつのことか。

それなのに。私は今でも夏が好きだ。日々の予定しかなくっても、空気が光の粒で溢れていくのを感じると本当にわくわくする。

昔の希望のかけらなのだろうか。浅い浅いプールの底で見たゆらめく光の破片とか、永遠に続きそうな気がした、たった一ヶ月の夏休みとか。そのときに感じた強い光がまぶたの裏にしつこく焼きついて、毎年幻を見せるのだろうか。

歳をとると新しいことが少なくなって、刺激や感動が少なくなって、時間の流れが早く感じるのだと友人が言った。

夏も終わりだな。思っているうちに十月だ。大人になって秋の紅葉も冬の澄んだ空気もちゃんと愛せるようになった。

それでも晴れた暖かい日、まだまだTシャツで過ごせるけれど、光の柔らかさと風に混じった秋の気配を感じると、簡単にさみしい気持ちになる。

2 件のコメント:

  1. 良子ちゃんへ

    刺激的な文章。胸がザワザワして思わずコメント。

    昨日初めて、お店でひとり 
    ソフトクリーム食べてん。
    コーヒーフロートとか大人の誤魔化しなし!
    コーンにグリグリクリームのやつ。すごいやろ(笑)

    よく人は、生きてきた時間を重ねて「歳をとった」って
    さもすべて経験したみたいに言うやん?
    でも、たとえば「今日」は初めてっしょ?って

    初体験だらけのご機嫌な「今日」が最近愛しくてたまらんねん。
    そうやって 知らん間に
    (出来れば)かわいい おばあちゃんになりたいねえ。

    麻名

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  2. まなちゃん

    いつも愛読ありがとう笑
    ご機嫌な今日、というの良いね。でも、明日はなんかもっとすごい、スーパーロックなやつを思い描いて、ご機嫌な今日を生きていくよ。

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