2013年2月6日水曜日

春も冬も

雨の夜、道路沿いを歩いて帰る。

家の灯りはほとんど消えて、ヘッドライトと街灯が、暗闇の中雨の姿を照らし出す。水の粒が傘をはじく音と、タイヤが水たまりを撥ねる音。永遠に続きそうな、暗くて寒い夜だった。

足早に歩いていると、ふと目の端にピンク色。愛想のない街灯の下に、花束が置かれていた。あぁなんてこと、思いながらも覗き込む。

マーガレットと、優しいピンクのガーベラ、スイートピー。柔らかな杏色で包まれて、とても可愛らしい。年下の彼女に贈る誕生日プレゼントのような。

素敵な花合わせ、上手にできている。なのにどうしてこの花束を作った花屋さんは、春の花でそろえてしまったのだろう。冷え切った冬のアスファルト、雨が降りつけスピードを出した車が素知らぬ顔で過ぎていく。

寒い寒いと、毎日文句を言って暮らしている。いつも忘れてしまうのだ。巡る季節を感じられることはこんなにも、幸せなのだと。

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